生殖組織特異的RNAサイレンシング機構及びゲノム構築過程の分子メカニズム解明

  個々の生物種は、進化とともに独自のゲノム情報を形成してきました。その一端を担うのがトランスポゾンです。トランスポゾンは元々ウイルス由来の外来性DNA断片ですが、その残滓をも含めるとヒトゲノムの場合45%もの領域を占めることが分かっています。トランスポゾンは、ウイルス様にゲノム上を利己的に転移する性質を有しています。この転移能は、厳しい環境への適応など生物進化に大きく貢献してきた一方、各個体にとっては厄介者、特に生殖細胞におけるトランスポゾンの転移は生殖ゲノム損傷の原因となり、生殖能力の低下のみならず次世代へ誤った遺伝情報を伝播する可能性を秘めており「種の保存」を脅かします。よって有性生殖を伴う生物は、進化の過程でトランスポゾンを生殖組織特異的に抑制する機構を獲得しました。この中核因子は23-33塩基長のpiRNAです。piRNAはトランスポゾンmRNAに対してアンチセンス、つまり対合可能な塩基配列をもち、分子間相互作用を介してPIWIタンパク質をトランスポゾンへと誘導します。その後、PIWIは自身のRNA切断活性を利用する、あるいは複数の補因子の助けを借りることによってトランスポゾンの発現を転写、ないしは転写後レベルで抑制します。しかし、piRNA生合成の仕組みやpiRNA-PIWI複合体によるトランスポゾン抑制の仕組みは未解明のまま残されています。当研究室では、ショウジョウバエとカイコをモデル生物として用い、生化学的・細胞生物学的解析や生物情報解析を組み合わせることによってこの問題を解決することを目指しています。上記の研究に加え私たちは、哺乳類の生殖細胞を用いた研究から、piRNAに依存しない新規のトランスポゾン制御機構と、それによって駆動されるクロマチンリプログラミングを見出しており、その全貌解明にも注力しています。これらの研究を通して、生殖組織におけるゲノムの安定性がどのように担保され、種の存続に寄与しているかを「RNA生物学」の視点から理解します( 動画 )。

News

2019-09-04
現在、ポスドクとテクニシャンを募集しています。
2019-08-29
マウスの生殖細胞のクロマチンに関する論文がDev. Cell に掲載されました。
2019-08-02
当研究室の榊原くんが「第21回日本RNA学会年会優秀賞」を受賞しました。
2019-08-02
Nxf2に関する論文がEMBO J. に掲載されました。
2019-05-07
YbとArmitageに関する論文がCell Rep.に掲載されました。
2019-04-30
Yb bodyに関する論文がEMBO Rep.に掲載されました。
2019-04-01
新しいメンバーが加わりました。
2018-07-18
2018-07-07
piRNAによる転写制御に関する総説がCurrent Opinion in Structural Biologyに掲載されました。
2018-06-19
Piwiの核内輸送に関する論文がCell Reportsに掲載されました。
2018-05-15
塩見美喜子教授が2018 EMBO associate memberに就任しました。日本語紹介
2018-03-01
piRNA生合成因子Papi関する論文が Natureに掲載されました。プレスリリース
2018-01-16
SINEに関する論文が PNASに掲載されました。
2017-12-27
piRNAに関する総説が Chem Rev.に掲載されました。
2017-11-22
カイコのpiRNAに関する総説がBioessaysに掲載されました。
2017-05-27
Crisprを用いたOSCのKO/KI株作出に関する論文がMethodに掲載されました。
2017-04-19
2017-06-26にTokyo RNA Clubが開催されます[poster]
2017-04-01
新しいメンバーが加わりました
2016-12-01
当研究室の鈴木さんが「第39回日本分子生物学会年会優秀ポスター賞」を受賞しました。
2016-10-10
PIWIタンパク質Siwiの構造に関する論文がCellに掲載されました。Previewはこちら
2016-09-12
piRNAクラスターのflamencoに関する論文がGeneticsに掲載されました。
2016-07-31
生殖細胞様細胞株の樹立に関する論文がGenes Dev.に掲載されました。
2016-06-14
H1に関する論文がMol. Cellに掲載されました。
2016-05-10
プラナリアPiwiに関する論文がDev. Cellに掲載されました。 Previewはこちら
2016-04-14
2016-06-27にTokyo RNA Clubが開催されます。
2016-06-28から2016-07-02までRNA2016が開催されます。
2016-04-04
新しいメンバーが加わりました
2016-02-22
2016-04-12にTokyo RNA Clubが開催されます。
2016-02-05
集合写真を更新しました。
2015-12-08
Krimperの機能に関する解説がFlyに掲載されました。
2015-12-02
日本語の総説集"ノンコーディングRNAテキストブック"が羊土社より出版されました。
2015-11-05
ホームページを新しくしました。
2015-10-05
In Situ電顕に関する論文がMethods Mol Biol. に掲載されました。
2015-09-07
piRNA生合成に関する総説が BBA [ScienceDirect] に掲載されました。
2015-08-06
転写因子TAF11に関する論文がMolecular Cell [PDF]に掲載されました。
2015-07-23
piRNA因子Krimperの機能に関する論文がMolecular Cell [PDF]に掲載されました。
2015-07-22
当研究室の難波さんが「第17回日本RNA学会年会ベストプレゼンテーション賞 優秀賞」を受賞しました。
2015-07-21
piRNAのシスエレメントに関する論文がCell Reports [PDF]に掲載されました。
2015-07-15
piRNA生合成過程phasingに関するPerspectiveがScience [PDF]に掲載されました。
2015-04-09
piRNA因子Maelstromの構造と機能に関する論文がCell Reports [PDF]に掲載されました。
2015-04-06
集合写真を更新しました。
2015-03-30
piRNA因子Maelstromに関する総説がFEBS Lett.[PDF]に掲載されました。
2015-03-05
piRNA生合成に関する総説がAnnu. Rev. Biochem.に掲載されました。
2015-01-23
コモンマーモセットの生殖組織の発生に関する論文がDevelopmental Biologyに掲載されました。
2014-12-31
piRNA因子Vasaに関する論文がCell Reports [PDF]に掲載されました。


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